悲しくも、真実を知ってしまった事

 【 麦わら帽子をかぶったマスク女の正体 】

 家に帰って、麦わら帽子の女性の事を 炊事途中の母に話すと、母は困った表情を見せて、「本当」、「そうなの」、『変わった人がいたものねぇ」と、頷く(うなずずく/うなづく)だけでした。
まったく取り付く島もありません。

 数日後の久々に降った本格的な雨の日、ほぼ同じ場所で彼女に会う事になります。
百メートル位は、離れていたでしょうか。
前から傘を差した女の人が、こちらに向かって来るのに気付きました。
歩いている姿が、前回会った時とそっくりだったので、彼女である事を直ぐに判断出来る事になります。

マフラー しかし、身なりを見て驚きました。
傘の中から垣間見えるその姿は、前回見た時と変わりませんでしたが、首になぜか、この時期にマフラーが巻かれていたのです。
いくら肌寒い雨の日だったとしても、この六月にマフラーを巻く格好(かっこう)がおかしな服装である事くらい、小学生の私でも理解出来ました。

 あのマスクの端から見えたものが、歯茎だったのか確かめようと考えていた訳でもなかったのに、すれ違う彼女の横顔を見逃すまいと彼女を覗き込む私がいます。
彼女はこの前と打って変わって、私の視線を避けるように過ぎ去って行きました。
だから、彼女のその部分はマスクとマフラーに隠れていて、確認する事が出来なかったのです。 


 その日の夕飯時に、父にこの話をすると、答えてくれました。
「可哀想に、あの娘は皮膚が溶ける病気に掛かってしまい、静養を兼ねて田舎に帰って来ているんだよ。」
「まだ、結婚前の若い娘なのに・・・」
「彼女の病気の事や彼女と会った話は、誰にも話してはいけない。」

 あん顔なのに、彼女の病気はほぼ完治をしていたのです。
しかしあの顔で仕事をする気になれない為、歩いていても人とすれ違う機会の少ない田舎に帰って来ていたのでした。 

 その話を聞いた私は、見ず知らずの彼女の事が、とてもとても可哀相に感じてしまいます。
そして、その墓地の前を通る事を止め、次の日から遠回りをして帰る事にしました。
しかしそうしなくても、彼女と会うことは二度と無かったのです。

 私の知らぬ間に、麦わら帽子で顔を隠したマスク女の事が、学校で話題になっていたのでした。
子供は、残酷です。
小学校で話題になっていたくらいですから、きっと、中学校や高校でも話題になっていた事でしょう。


 次回は、「消えてしまった麦わら帽子の女と、その家族」です。







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コメント

No title
可哀想なお話に なってきちゃいましたね。
No title
んん。。。。
読ませて頂きました。
ありがとうございました。
まだ続きがあるのですね。
また楽しみにして来ます。
おばあちゃんの家の
隣にお豆腐屋さんがあって
火事でそこの奥さんが顔にひどいやけどを・・・

子供の頃、おばあちゃんの家に夏休みとか遊びに行って
そのお豆腐屋さんの前を通るのに抵抗がありました。

そんなことを思い出しました・・・

No title
絵文字:e-451]なんと 病気でしたか!
溶けたところが 
歯茎のように見えてしまったんですね。

学校で噂になってしまった事が
彼女を傷つける結果になったのでしょうか…
怖いお話から一変。
予告のタイトルを見て
続きがさらに気になってしまいました(´・_・`)
こんばんは
お父様とお母様が、るどるふくんさんに
娘さんを思いやるお気持ちで、きちんと説明とてくださって
本当に、素晴らしいなと思いました。
小さなるどるふくんさんが
娘さんに気を遣われて、遠回りしたということも
本当に、お優しいなと思いました。
他のお宅でも、子供さんたちに
丁寧に教えてあげませんと
興味本位の噂がたってしまいますので
娘さんのことが、心配になりました。
No title
 男性もそうと思いましが特に女性でにけがや病気で顔に傷があるのは、気の毒です。顔は特に目立ちますから。
 乳癌でも、全摘して、乳がないのはは隠れてしまうからどうでもいいと言う人もいますし、隠してあるからいいと言う訳ではないと言う人もいます。まあ、とにかく普段は隠れています。

 …この後どうなるのでしょうか。
こんばんは!
なんと、そんなひどい病気だったとは…。
人を避けて田舎へ戻ってきたその女性の気持ちはいかばかりだったか…
お父様のお話を聞いて墓地への道を行かなくなったルドルフさんは、人の痛みをわかるお子さんだったのですね。
しかしそのことがいつしか子供の間に広まったとなると―う~ん、これはちょっとまた展開が変わってきますね~。
次回を待っています!
おこちゃん さんへ
 前回記事に、次期の予告を載せなかった訳がここにありました。
予告によって、ネタバレしないようにと。
恐怖を話を期待していた方々には、申し訳ないことです。

 次回もよろしくお願い致します。
ふーみん09  さんへ
 オカルト的な怖い話ではなく、違う意味での怖い話です。
次回も期待して頂ける事を嬉しく思います。
ただ、あっけない終わり方になるすも知れません。

 
もも さんへ
 自分の意思と関係なくそういった障害を負った方にとっては、とても悲しい出来事です。
やけどの酷さは、想像を絶しますね。

 その方はお気の毒でに思いますが、殆どの方がももさんと同じ状態になるのではないでしょうか。
なんとも、やるせなく仕方の無い事です。
みけ さんへ
 口角の部分が溶けて、歯茎が剥き出しになっていたのかも知れません。
さぞや辛い病気だったと思います。

 次回記事のネタバレになってしまいますが、そのような事で傷ついたのでしょう。
次回記事が、ご期待に添えればいいのですが。

すももどーる さんへ
 相手を気遣っての対応だったのか、私を気遣っての対応だったのかは解りませんが、彼女の存在を知らぬ振りをする事によって、お互いが傷つかない最大の礼儀だったのでしょう。

 父は、私が子供だった為に、最善の方法を取る事を勧めたのかもしれません。

 一部ネタバレになってしまいますが、噂というものはひとり歩きをするものだという事ですね。
ひねくれくうみん さんへ
 男であれ、女であれ、顔に傷が付く事は相当なショックを受けていたと考えられます。
普通の人に有るものが無ければ、ショックを受けて当たり前ですし、どうでもいいはずがあり得ません。
しかし、死よりは良いう考えの下の発言なら、大勢の方が理解出来る事でしょう。

 次回の記事に期待を頂けて、嬉しく思います。
見張り員 さんへ
 この頃私は、今に比べられないほど純粋だったと考えます。
普通の人の生活が出来ない事の苦しみを、その人以上に哀れんでいたのかも知れません。
相手の方からすれば、余計なおせっかいと思うかも分かりませんが・・・。

 どれだけの規模で噂が広がっていたのか判りませんが、ポツポツとは聞こえてきていました。
子供という生き物は、大人よりはるかにこういった話題には過剰反応をしますから。

 次回を期待頂き、嬉しく思います。
No title
かわいそうなお話ですね・・

続きが有りようですね、
興味深く読ませて頂きます。
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
ムーン323 さんへ
 訪問コメント、ありがとうございます。
彼女の完全な形での素顔を見ていないので、哀れむ事自体が失礼だったかも知れません。
しかし、最初に見たあの部分が強烈に印象深く残ってしまいました。

 次の記事に、どれだけ正確に書いて良いものか思案中です。
次回もよろしくお願い致します。
み*** さんへ
 お久しぶりです。
ちょうど一年ぶりくらいのコメントですね。
ブログに、ほっこりさせてもらっています。

 仰せの通り、ハン**病だと噂されていました。
当時は、ら*病として恐れられていましたが。
(差別的病名になっているので*で隠しました)
今になっては、実際にこの病気だったかどうかは、確かめようがありません。

 どちらにしても、辛い病気だった事は確かだったと思います。
No title
一番最初に浮かんだのが“口裂け女”でした。常識的でしょ(笑)
でも意外な展開にドキドキ。
終わったのかと思ったらまだあるんですか。
次を楽しみにしてます。
ミドリノマッキー さんへ
 オカルト的な事を期待されていた方には、残念な思いをさせたかもしれません。
次回の記事でこの話は終わる予定です。
楽しみにして頂けているのなら、嬉しく思います。

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