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霊魂の話 その6

kage

2014/08/26 (Tue)

【 遊ぼっ 】

 間もなく、息子は 体温が40度にもなる熱を出しました。
病院で 注射と熱さましの頓服を服用すると、一旦 熱は下がりますが、夜になると また 高熱にうなされます。
その日の晩に 近くの緊急診療所へ行くと、「普通の風邪ではないかもしれない」と 言われ、今すぐ医師会に行って、家の近くの病院を紹介してもらうように言われます。

 そして医師会に行き、医師会から紹介された病院へ行くと、インフルエンザと診断されたのでした。
注射と熱さましを使って 熱を下げようとします。
しかし、三日経っても、熱は 全く下がりませんでした。
結局その病院は ちゃんとした設備がないとの理由から、総合病院へ行くようにと 紹介状を書いてくれます。

 総合病院に行くと、即入院する事になってしまいました。
痛々しい入院生活の二週間後、退院することが出来ます。
息子は 昨日までの生活から開放された為か、入院をしていたのが嘘だったのかと思わせるほど、私達の注意も余所(よそ)に はしゃいでいました。

 しかし翌朝、息子は 意識が朦朧(もうろう)とした様子で、ぐったりしていました。
かすれた声でしか返事をしない息子に、驚いた私たちは 救急車で病院へ運ぶことにします。
そして、前回同様、点滴と薬漬けの二週間の入院生活が また始まりました。

 そして、退院したその日の夜に またもや40度の高熱を出したのです。
救急車を呼ぼうとしていると、「あの病院には もう、入院させたくない」と、妻に懇願されてしまいました。

 ならば、もっと大きな病院へと 電話帳で探しまくります。
その結果、御茶ノ水の順天堂大学病院がいいと判断し、電話をしました。
私の住所からすると、浦安の順天堂の方が近いので そちらに行くように指示されます。

 救急車の手配をしました。
受話器を置いた途端、ベルが鳴ります。
順天堂大学浦安病院(順天堂大学医学部附属浦安病院)の婦長さんからの電話でした。
「くれぐれも、救急車で連れてくる事は 絶対にやめて下さい、それでは。」

 サイレンの音と共に階段を駆け上る音、さっき呼んだ救急車が来たのです。
来るなと言われたけれど、わざわざ来てもらったのに断れませんでした。
救急隊員は びっくりします。
何回計っても 体温が43度より、少し上だったからでした。

救急車で、順天堂大学浦安病院へ到着。
息子は 緊急処置室に運ばれましたが、手続きをしている側(そば)から、妻と救急隊員達に えらい剣幕で激怒している婦長さんが居りました。
「あれ程、救急車を使っては いけないと言ったのに。」

 即入院、そのまま寝ないで起きていた私達が 早朝病院に行くと、看護婦さんから「今、精密検査をしています。」
「午後まで掛かるので、午後になってから また来てください。」

 午後の外来が始まった時間に出向くと、特別室に連れて行かれます。
すると、二人の看護婦さんと五人の先生方が次々やって来ました。
「今、検査中ですが、私達が経験した事のない 珍しい病気かも知れません。」
「どんな事をしてでも、治療して行きたいと考えています。」
「その為には 研究を兼ねて、我々五人の医師と看護婦達で診させて頂きたいのです。」
「ご両親様に、その治療方法についての ご理解と納得をして頂きたいのです。」

 妻は、ずっと堪えていたものが切れたのか、泣き崩れてしまいました。
嫌と言えるわけも無く、私達は 納得するしかない状況に置かれていたのです。

 二人目を身ごもっていた妻は 朝の洗濯干しが終わると、毎日病院へ通いました。
病院の看護婦さん達の人気者になっていた息子は 私達が帰る仕草が判るようになっていたようで、帰り支度を始めると 頭中の装置と体中に施されたチューブや数々の装置を引きちぎる勢いで、両手を前に出し、泣き叫びながら“連れて帰って”と言わんばかりに 起き上がろうとするのでした。
しかし、起き上がることは 出来ないのです。
体のあちこちに、重り(おもり)が付けてあったからでした。


 妻が家で洗濯物を干していると、誰かに すそを掴まれた気がしたそうです。
振り返っても 誰もいません。
「あそぼっ、」
彼女は 声が聞こえたような気がしました。
「あそぼうねぇって」
テレビもつけていません。

 そのまま洗濯物を 物干しに掛けようとした瞬間。
また、すそを引っ張られたのです。
「だれ、誰かいるの」

 そして、私達が その日に病院へ行くと・・・。





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世間(世間の事)評論家
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この記事へのコメント

kage

子供なのに身体拘束までされてかわいそうでした。 
ご両親の顔を見れば一緒に帰りたいと思うのは当然です。子供の入院は痛々しいですね。
 救急車の件はタイミングが悪かったですね。どちらかに悪く思われざるを得ない…この場合は救急隊の方を優先しますよね。
 この次はどうなるのでしょうか?

Posted at 16:34:27 2014/08/26 by ひねくれくうみん

この記事へのコメント

kage

救急車で来るなというのが 何故なんでしょう、感染症だったら、隊員さんに移ったりするから?

こういう展開だと不吉な感じの予告だったりしますが、息子さんどうなっちゃたのか、、コメント控えようかとおもちゃったんですけれど、、。
次回まで気になります。

Posted at 18:15:33 2014/08/26 by おこちゃん

この記事へのコメント

kage

ひねくれくうみん さんへ

 今回も、コメントありがとうございます。
救急車に運ばれていった時、隊員の説明で熱が43度を超えているとわかった途端、婦長さんは 文句を言う事を止めます。
容態の深刻さが伝わったようでした。

 息子は、人懐こい性格だった為、入れ替わり立ち替わり看護婦さんが来てくれていましたので、寂しがっていた様子はありませんでしたが、数日経つと、私達が帰るタイミングが判るようになります。

 帰り際に、両手を広げて前に出し、てのひらを目いっぱい広げて懇願する様に、子供の時以来、涙を流した事のなかった私も、目頭が熱くなり、目が潤んで来るのがわかりました。

Posted at 00:47:28 2014/08/27 by るどるふくん

この記事へのコメント

kage

おこちゃん さんへ

 大きな有名病院なので、救急車での夜間診療を認めてしまうと、一晩で何十台もの救急車が来てしまう為、看護婦さんやお医者さんが 対応し切れなく成る為と言っていました。
本当かどうかは 判りませんが、その為に人手が全く足りなくなってしまうと。

 これからの展開は 次回記事にて。

 おこちゃんさんの 次回動画、楽しみにしております。

Posted at 01:00:22 2014/08/27 by るどるふくん

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kage


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