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そして、彼女はいなくなった

kage

2015/06/30 (Tue)

 【 子供は残酷です 】

 彼女の姿を見なくなって、数日後の事でした。
休み時間に、四、五人のクラスの子達(ら)の話している声が聞こえて来たのです。

教室 彼達(かれら)の内の一人の兄が、“大きな麦わら帽子に大きなマスクをしたお化け女”を見た話をしたと言うのでした。

 その女の格好を不思議に思ったその兄さん達は、その女に質問を投げ掛けたそうです。
「大きなマスクですね、風邪ですか」と。

 女は振り向いただけで、返事を返してくれません。
しかし彼達は、その時見つめ返えされたその大きな眼がとてもきれいで、素顔を見たくなったのでした。


 数日後にその女に会うと、また声を掛けたようです。
彼達は、それでも返事をしない彼女に、ちょっかいを出したくなっちゃったんですね。

 子供のやる事は決まっていました。
枯れ枝で突っついてみたり、小石を投げたり。
当然、彼女は怒ります。

 しかし、子供は残酷です。
目的を達成するまで、止めません。
猫がネズミを弄ぶ(もてあそぶ)ように。
もちろんこのような行為は、子供にも猫にも悪気がある訳ではないのでしょうけれど。
大人に比べ、道徳心や節操が少ないから、つい行き過ぎてしまう。

 突然、彼女が声を発しました。
「やめて」と。
そして、彼女の眼には涙がこぼれて・・・。
その瞬間、彼達はやり過ぎたと思ったそうです。

 丁度その時、彼女のマスクがずれていたのを目撃。
それはそれは、びっくりしたと言っていました。
当然、怖くなった彼達は、その場から逃げ去ります。

 それから、彼女を見た者はいなく、彼女の家族もいなくなったのでした。
ところが、彼女を見た人があまりに少なかった為に・・・
その存在自体を信じるものは少なかったのです。 






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悲しくも、真実を知ってしまった事

kage

2015/06/23 (Tue)

 【 麦わら帽子をかぶったマスク女の正体 】

 家に帰って、麦わら帽子の女性の事を 炊事途中の母に話すと、母は困った表情を見せて、「本当」、「そうなの」、『変わった人がいたものねぇ」と、頷く(うなずずく/うなづく)だけでした。
まったく取り付く島もありません。

 数日後の久々に降った本格的な雨の日、ほぼ同じ場所で彼女に会う事になります。
百メートル位は、離れていたでしょうか。
前から傘を差した女の人が、こちらに向かって来るのに気付きました。
歩いている姿が、前回会った時とそっくりだったので、彼女である事を直ぐに判断出来る事になります。

マフラー しかし、身なりを見て驚きました。
傘の中から垣間見えるその姿は、前回見た時と変わりませんでしたが、首になぜか、この時期にマフラーが巻かれていたのです。
いくら肌寒い雨の日だったとしても、この六月にマフラーを巻く格好(かっこう)がおかしな服装である事くらい、小学生の私でも理解出来ました。

 あのマスクの端から見えたものが、歯茎だったのか確かめようと考えていた訳でもなかったのに、すれ違う彼女の横顔を見逃すまいと彼女を覗き込む私がいます。
彼女はこの前と打って変わって、私の視線を避けるように過ぎ去って行きました。
だから、彼女のその部分はマスクとマフラーに隠れていて、確認する事が出来なかったのです。 


 その日の夕飯時に、父にこの話をすると、答えてくれました。
「可哀想に、あの娘は皮膚が溶ける病気に掛かってしまい、静養を兼ねて田舎に帰って来ているんだよ。」
「まだ、結婚前の若い娘なのに・・・」
「彼女の病気の事や彼女と会った話は、誰にも話してはいけない。」

 あん顔なのに、彼女の病気はほぼ完治をしていたのです。
しかしあの顔で仕事をする気になれない為、歩いていても人とすれ違う機会の少ない田舎に帰って来ていたのでした。 

 その話を聞いた私は、見ず知らずの彼女の事が、とてもとても可哀相に感じてしまいます。
そして、その墓地の前を通る事を止め、次の日から遠回りをして帰る事にしました。
しかしそうしなくても、彼女と会うことは二度と無かったのです。

 私の知らぬ間に、麦わら帽子で顔を隠したマスク女の事が、学校で話題になっていたのでした。
子供は、残酷です。
小学校で話題になっていたくらいですから、きっと、中学校や高校でも話題になっていた事でしょう。


 次回は、「消えてしまった麦わら帽子の女と、その家族」です。







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ありえないものが見えてしまった

kage

2015/06/17 (Wed)


 【 麦わら帽子の女の人 】

 もう、何十年前の事でしょうか。
確か、小学の3.4年生の頃だったと思います。
思い出しながら書いているので、正確な記憶ではないかも知れません。

 小学校から帰る途中に、墓地がありました。
田舎にしては大きな墓地で、三百基以上の墓石が立っていたはずです。
神社のある小山の登り階段の側面に段々畑のように広がっているその墓の数々は、子供の私にとって、薄気味の悪い気配を感じさせるには 充分すぎる程の景観をしていました。

 その墓地を抜けると、辺り一面に田んぼが広がり、家の一軒もない砂利道が一キロ近く続きます。
もちろん人口の少ない田舎の事ですから、神社の入り口からその墓地を抜けるまでの間に、人とすれ違う事は滅多にありません。
その先の多くの田んぼのどこかで作業をしている人を、たまに見かける程度でした。

 あれは、ちょうど梅雨の頃だったでしょうか。
その年の梅雨は雨の日が意外に少なく、一週間のうちに五日くらいは、晴れていたと思います。
梅雨の晴れた日というものは、真夏以上の日差しの強さを感じる程暑く、帽子なしでは日射病にでもなってしまいそうな感じがしました。

 一人でボツボツと、学校から帰っている時でした。
突然、理由もなくランドセルの横に差してあった縦笛(今はリコーダーと言われている)を取り出し、鳴らし始めたのです。
何故か、そうしたくなったのでした。

女マスクの 笛の頭部管(とうぶかん)に口をつけながら、指の運びを見ていた目を正面に向けた時です。
数メートル先に、テレビドラマでしか見たことのないような都会的麦わら帽子をかぶった髪の長い若い女の人が、歩いて来るのが見えました。
いつの間に現れたのでしょうか。
田舎では見かけた事のないような上品ないでたちに違和感を感じたのか、笛を吹くのを止めて立ち止まってしまいます。

 その人が、近づきざまに首を少し傾け、微笑(ほほえみ)掛けてきました。
いや、微笑み掛けてきた様に見えたのです。
すっとした体型に、ハイソな格好(いでたち)と面持ち(おももち)。
吸い込まれそうなきれいな目でした。

 しかし、彼女の口元には大きなマスクがあったのです。
今でこそ一般的に良く見かける大きなマスクですが、この当時に、こんな大きなマスクは見た事がありません。
普通のサイズの三倍はあるようなこのマスクに、驚きを隠せませんでした。


 そして彼女が、私の前から過ぎ去ろうとした瞬間に、目を疑うようなものが見えたのです。
マスクの脇に・・・。
決してありえない場所に。

 それは、どう見ても歯と歯茎にしか見えなかったのでした。


 次回は、この続きを。







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睡眠不足か眼精疲労か

kage

2015/06/12 (Fri)

  【 突然のめまい 】

 いつものようにパソコンで各サイトを訪問中、突然めまいと共に、吐き気を催(もよう/もよお)してしまいます。
丸一日、食事も受け付けず、ほぼ食中毒のような症状が表れました。
そして、薬も飲めず一日以上経過すると、だいぶ治まって来ます。
しかし、パソコンやスマホを触ると、またもやかすかなめまいが表れる為、しばらくはコメントに対しての返事のみにすることに。

 万全を期して、2週間近く記事の更新は中断致しました。
おそらくは単なる睡眠不足による眼精疲労の症状だと思っていますが・・・。

 また、希少とは存知ますが、次回記事に期待されて訪問頂いた方々には感謝致します。

 次回記事は、数日後に。
 


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